稲刈り体験
「…じゃあ9時に」
その言葉を小耳に挟んだ事で、今日の予定は決まったと言っていい。
「えっと、稲刈りとかあるんですか?」
木村さんの自然栽培講座で、上野農場の上野さんと女性の方が話していた言葉を聞きつけた私は、思い切って尋ねてみた。
「はい…」
曖昧な返事を聞き返さなかったのは、最初はちょっと迷っていたからかもしれない。
色々あって、とりあえず上野さんに電話してみると、快い返事を頂いたので土曜日に行ってみる事にした。
電話で聞いてみると、稲刈りというよりもはさ掛けがメインなのだそう。
土曜日は、昨日の雨が嘘のように晴れて快晴だった。
豊栄は新井郷のローソンの裏だという田んぼは、一面黄金色に染まっていた。
簡単な自己紹介を終えると、早速取り掛かる。
刈るのは上野さん。
小型の電動コンバイン。
30年近く前の年代物だそう。
稲を集めて、はさ掛けするのが私たちの役目だ。
最初は順調に思われた稲刈りにも、意外な落とし穴が潜んでいた。
コンバインが調子悪い。
稲を刈った後自動で縄を掛けるようになっているのだが、どうもそれが上手くいかないらしい。
たまにあるバラけた稲を縛る位なら良いが、全部となると容易ではない。
直ぐ休憩になった。
いろんな人が来ていて、会社の使命で来ている人や昨日のオーガニックマーケットで知って来た人、応援ボランティアの人など様々な人がいた。
再び動き出すかに見えたコンバインだったが、再度のダウン。
私たちは、用意してもらった麦茶を飲みながらテントの下で休憩した。
農薬も肥料も使っていない田んぼでは、イナゴやトンボ、カエルなどの生き物たちが元気に生きていた。
なかなか動かないので、ちょっと早いけどお昼に。
上野さんのご自宅に昼食を取りに行くと、玄関には木村さんの映画のポスターが。
昼食は、奥様が作って下さった豚汁とおにぎり、漬物など豪華極まりない。
それにしても、黄金色に実った稲を見ながら食べるご飯のなんと美味しい事か!
爽やかな風が吹いて、とっても気持ち良かった。
午後になってもいまいち機械の調子が悪く、整備の人が来て部品を交換する事になった。
その間ボーッと待ってるのも何なので、手で稲を刈る事に!
初めての体験!
でも、ただ稲を運ぶよりずっと楽しかった。
一人減り二人減って夕方になった頃、やっとコンバインは絶好調を迎えた。
しかし、惜しむらくは時間切れ。
田んぼ自体の稲刈りは終わらなかったけど、はさ掛けはだいたい良いとこ終わったかな。
(私は、3日後くらいの筋肉痛が怖い…)